症例6
患者
男性 50代
来院
2016年3月10日
顔面神経麻痺の症状と来院理由
約1カ月前に運動中に異変に気付かれ、脳神経外科・耳鼻咽喉科を受診。精密検査(X-PおよびMRI、エコー)は異常なし。
ベル麻痺と診断される。
以後、ステロイド剤、安定剤を服用と点滴。
特にリハビリ等は行っていない。
発症の半年くらい前から夜眠れないことが多かった。その時に内科で血液検査で血糖値とHba1c高値と指摘を受ける。
仕事が忙しく、夜11時に帰宅、朝は7時前には家を出る生活が続いている。胃痛がひどく、ピロリ菌の治療を受けたが変わらない。ストレスが原因と自分では判断している。
ベル麻痺の治療
治療と経過
睡眠が取れないことを解決することが先決と判断する。いわゆる自己免疫力の低下につながるためだ。生活面で無理があるために仕事をしながらコントロールをする必要があるために食生活等の改善には協力していただいた。具体的には糖質制限。
施術は腸内温度を高めて、自己免疫力を高める一点に集中する。
脈状は『遅、実、沈』
証は『脾虚肝実』
※証については開始直後は毎回変化するが初回のみ記載しています。
5回目(3月20日)眠れるようになってきたが尿の回数が多くなる。
夜間もトイレに3度起きるがすぐに眠れるので助かる。
10回目(4月10日)腹痛から一晩中下痢をして、眠れないことがあった。鼻水が大量に出る。花粉症?
15回目(4月26日)花粉症の薬を飲まずに耐えたら鼻水がおさまった。鼻血が3回ほどあった。そのせいか顔の感覚が戻て来て、口から物がこぼれることもない。マスクもなしで出社出来ている。周りからはよくなってよかったと声をかけられるほど。
25回目(6月10日)違和感もない。体も楽になり、仕事が順調に出来ている。
同時に治療した症状
不眠症、花粉症、胃痛
施術した主なツボと関節等
太白、大陵、太衝、陥谷、合谷、陽陵泉
顔面神経麻痺の考察
ストレスというものを原因とすると何も進まないという考えを毎回、説くことが課題になった典型的な症例である。
血糖コントロールのために脾と肝の相関関係を丁寧に補瀉することを優先させた結果、いい方向に進むことができた。
腸内温度を上げるために苦労したが男性にしては協力的だったので経過が良好に進んだ要因でもある。
サプリメントや薬をかなり飲んでおり、習慣の怖さを思い知る症例であった。